私は好きな映画は何十回も見返します。
知識廚や深堀好きというわけではなく女優の名前も覚えてなければ監督の名前も知らずただただ純粋に楽しむのが好きで何度も見返す映画のほとんどが10代の時に見たものです
今日無性に見返したくなったのは「死ぬまでにしたい10のこと」という映画です
盛り上がりやメリハリのある感じじゃなくただ静かに日常が流れていくような話で、ストーリーを要約すると仲良く旦那と2人の娘と暮らす23歳の母親がガンで余命2.3ヶ月になり残り少ない時間をどう生きるか、といった感じ
この映画のどのシーンも完璧に大好きなのですが1番最初のときめきシーンは主人公アンが夜1人で行ったコーヒーショップで出てくる甘ったるいだけで美味しくもなさそうなパイナップルチーズケーキです。
コーヒーショップなのにマシンが壊れていてエスプレッソもカプチーノもない、夜遅いからかデニッシュも品切れ。
結局甘いものがこれしかないというパイナップルケーキとただのコーヒーで自分が死ぬまでにしたいことリストを作るアン。
このシーンは昔から好きだったのですがなぜ好きなのか今更ながらよく考えてみました
当時は単純に秘密めいた雰囲気とこの独特なケーキが魅力的でいいなという感じだったと思うのですが、子どもがいる今ならこのコーヒーショップでのアンの時間がどれだけ特別なものだったかちゃんと分かります。
初めてキスした男と17で子どもができて19で2人目ができて考える時間もなく23になり死の宣告をされてようやく自分とちゃんと向き合うために寄ったカフェではシケたメニューしかないこの絶妙な「上手くいかない感」が痛いほど現実的なのです。
また今回改めて見ると、アンが余命宣告をされた帰りのバス停と終盤の不倫相手と車に乗っている時同じ大道芸?のような人が2回出てきます。
一度目に出た時は気にせず見たのですが、二度目にアンの体調がかなり弱りだしている時にも大道芸の人がでてきて死のメタファーになっているのだなと今更ながら気づきました。
不倫相手とのシーンは終盤の海が見えるレストランで食事をして別れる時がやっぱり1番素敵です。
アンは娘や旦那や母親にテープを残して死ぬのですが最後はこの不倫相手に録音しておいたテープが流れて映画が終わります。最後のテープの締めくくりにもときめきが詰まってます
他の人の感想レビューをちらっと見た時、余命が少ないのに旦那以外の人と浮気してるのが腑に落ちないなどの意見があったが、私はこういう意見は酷く傲慢だと思ってしまう。
感想はそれそれが思うことであって私がこの考えを否定するのもお門違いですが、死の間際に23という若さで立たされ「彼女が」心からしたいと思ったことの一つが恋愛をもう一度楽しむことだったのです。
ならこの際彼女の好きなようにさせてやろうやという感じです
私が旦那だったとして心から愛していたならアンを責めたりはしません。
初めてこの映画を見た時から何年も経ち、考えてみるとアンを含めアンを取り巻く登場人物の「どこか上手くいっていない人」や「何も持っていないけどかけがえのない人」たちに無意識に共感して引き込まれていたのだと思います。
ストーリーだけじゃなく音楽も最高です